うさぎのねどこ

二人の息子育て・忍耐強い自分育てに奮闘中

婆ちゃんの引っ越し

結婚で私が家を離れることになり、まずわが家で行き当たった問題は
「婆ちゃんのお世話をどうするか」ということでした
36年に1回の「五黄の寅」どしで、快活な反面、気性も荒い婆ちゃんと30数年三世代で
同居してきたものの、最近では95歳相応の認知症の症状も出てきたりして、
これまた年老いた両親に託していくのは私も気がかりなところでした


もともと婆ちゃんと母はそれなりの確執があり(とはいえ30年以上にわたって義父母と同居
し続けたのはスゴイ)、父の方は認知症ゆえのあらぬ財産絡みの疑いをかけられてすっかり
参ってしまっていたので、3人を一つ屋根の下に残していけばいずれ
老老介護が招いた悲惨な結末…』なんてことにもなりかねない
そんな心配を抱きつつ、結婚準備の傍らで婆ちゃんの嫁入り先を模索してきました


婆ちゃんと私の関係は、いわゆる“祖母と孫”的なほのぼのしたものではなかったものの、
一緒にいた時間が長い分、姉やいとこ達とは少し違ったつながりがありました
(多分…私の思い過ごしでなければ)
そんな私にふと漏らした「早くこの家を出たいよ」という憎まれ口にお婆ちゃんの本心が
見えた気がして、お婆ちゃんのためにもどげんかせんといかんと思った訳です
婆ちゃんは当初5人いる他の子供達の家を渡り歩くつもりだったようですが、小さい頃から
婆ちゃんのものすごさを知っている叔父伯母からの返事はノー。
リア王が珍しく弱気になったところで、グループホームへの入居を勧めてみました
お世話してくれるのが他人様なら、さすがに五黄の寅も大人しくネコをかぶらざるを得ません
トントン拍子で入居が決まり、2月末には私より一足先にグループホーム
お嫁に行ってしまいました
年の割に順応性の高い婆ちゃんはすぐにそこのカオとなり、仲良しのお爺ちゃんも出来た模様
これで私も心置きなく家を出られると思いきや、これで終わったわけではありませんでした…


婆ちゃんが無事グループホームで自分の居場所を見つけ、残された家族もそれぞれ自分達の
日常に戻り始め、一件落着と見えたジャイ家
しかし一番重要な問題が残っていました
月々にかかる費用のことです
入居を決めた2月頃は家族も、そして恐らく婆ちゃん本人も精神的圧迫がマックスに達していて
「どこでもいいから直近で入居できるとこ!!」
というスクランブル的決断でそのホームを選んだのですが、そこは他の施設に比べて費用が
若干高く(だからこそ空きがあったのですが)、婆ちゃんの豊かな年金でもチト足が出ます
そこで父が叔父伯母と相談し、兄弟6人がひと月1万ずつ出し合うこととなりました
私が婆ちゃんの銀行口座の管理人となり、どの家も苦しいけど、何とかやっていきましょう
という雰囲気になった矢先、幸か不幸か、父が以前申し込んでいた特別養護老人ホーム
空きが出たというしらせが入りました
特別養護老人ホームは費用の大部分が介護保険でまかなわれるため、
今入居しているグループホームよりもだいぶん負担が軽減されます
そこなら婆ちゃんの年金だけで20年でも30年でもお金の心配なく暮らしていけるわけです
今の元気ハツラツっぷりを考えるとありえる話だし
でもやっと新しい環境に慣れたのにまた引っ越し…
婆ちゃんの気持ちを考えたり、私自身入居手続きに奔走した日々を思うと、かなーり抵抗が
ありましたが、お金が絡む話で親や親戚に勝てる筈もなく、泣く泣く婆ちゃんや今のホームに事情を話して納得してもらいました
そういう時は人任せだから大人ってズルい(ノ_・。)
おまけに婆ちゃんからは
「いい服はジャイ子(私)にみぃーんな持っていかれた!!」
なんて言いがかりを陰に日向にさんざん言われたり。
…新しい施設は収納も充分でないので、婆ちゃんとちゃんと相談した上で余分な服を
家に持ち帰っただけなのですが…
これも転居に対する婆ちゃんの不満の表れかもしれません
そんなこんなで無力感にさいなまれたりしながら、本日の引っ越しを迎えました
今のホームへと入居先へのご挨拶品や収納タンスを買い、荷物をまとめ、グループホーム
終了契約とお礼をして、役所で住所異動手続きを各種済ませて、私のすべき事は全てやりました
肉体的にも精神的にもくたびれた…
せめての救いはグループホームのスタッフの方が、忙しいなか全員で婆ちゃんを花束つきで
送り出してくれたことと、婆ちゃんと仲良しだったお爺さんが転居先に遊びに行くと
力強く言ってくれたこと
短い間だったけど、いい方達に囲まれていたんだなぁとしみじみ感じました
それだけにここを離れたくなかったんじゃないのかなぁとも
(そこは五黄の寅、ホームの文句は山ほど言っていましたが)
「いい人達に恵まれるといいですね」という責任者さんの涙ながらのお言葉通り、
お婆ちゃんに(今度こそ!)ゆったりと落ち着いた、穏やかで楽しい時間が訪れればいいなと思います